【小説】金曜日の玉(ぎょく)1

金曜日の夜になると、人間は様々な行動を起こす。
酒を飲む、食事を楽しむ、体を動かす、作品を楽しむなどなど、その行動は人によって様々である。
ふむ。その様は観察していて面白い。

ならば、私もその時間を提供してみよう。
一介の狸としてどこまでできるかはわからないが、人間を学び、彼らに提供してみたくなった。
楽しむ彼らを見るのは楽しい。だから私は、
人間を楽しませてみよう。笑わせてみよう。踊らせてみせよう。

我が「玉」にかけて。
狸の誇りたる「玉」にかけて全力を傾けよう。

とはいえ、私もこのままでは、玉石混合の「石」を提供してしまう。
ふむ。
とりあえずは学ぶところから初めねばならぬな。
「玉」にかけて「玉」を提供してみせよう。

私の名前は、、、ふむ。人間に働きかけるのに狸の名前を名乗っても仕方ないな。
どうしたものか。
まぁ、とりあえず、呼ばれた名前を名乗るとしよう。

そう決意をしたところで、ぽんっ!と音を立てて人の姿に化けた。
これが、約100年前の話である。

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